良い写真を撮る人からは時が経っても何らかの気付きがある?

人でも物でも育てることが苦手なので、それを克服するためにジーンズを育て始めている「ひでっとる」です。よろしくお願いします。

昔の資料を見返していたら、新たな発見をしたので、記事にしました。以前に立ち上げていたウェブサイトにで気づいた事です。

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良い作品を見ることは、自分の作品の肥やしになると思っていました。

昔から写真を見るのが好きで、写真家になる!て決めた時からは、それこそ手当たり次第に写真集や書籍、雑誌に目を通すようになりました。もちろん、直接作品を見ることが出来る写真展にも足を運びました。

自分の作品を作るためのビジュアルイメージのストックが徹底的に不足してる

と実感していたからです。それまで、ほとんどクリエイティブな生活を送っていなくて、いきなり写真学校に入ったものの、さて作品を作るぞ、となっても自分の中に軸がないので、何をして良いかわかりませんでした。

これはいかん、と思って、必死になって写真を見ることを続けました。

その後、志半ばで仕事の業種が変わってしまいながらも、写真を見ること自体は趣味的に続けていました。そしてある時期から、ネット環境が自宅で利用できるようになります。

もう20年以上前になりますが、インターネットは遅い回線ながら一般に普及して、ネット上で写真作品を発表するサイトも既にありました。特に海外のサイトで、質の高い作品が多かったこともあり、出来るだけ広範囲にいろんな国のサイトを熱心にネットサーフィンするようになりました。

写真展を行うより手軽な気がして、自分自身も作品をネットで発表するようになりました。

それと並行して、自分が気に入った写真掲載サイトを紹介すればいいんじゃない?と思って、別のサイトを立ち上げました。

当時立ち上げていたウェブサイトの概要(2003年頃)

2つのサイトを立ち上げました。一つは自分の撮った写真をアップするサイト(タイトル「無名写真」)と海外のサイトを紹介するサイト(タイトル「有名写真」)です。

「無名写真」には、1995年に行ったアメリカ旅行の写真や一宮の建物の作品なんかをアップしていました。自虐的に自分が無名な点をタイトルにしています。

「有名写真」はリンク集です。49の海外写真サイトをコメント付きで紹介していました。特に有名な作家ばかりではなく、有名になりそうな、僕の好きな写真を撮っている作家という意味でした。

じつは、20数年後に見返したら、本当に有名になられた方もいて、うれしい感じでした。当時から目を引く作品ばかりなので、当然ではありますね。

写真ポートフォリオサイト(作品紹介)での限界からのブログ転身

自分の作品を発表する場の「無名写真」のその後です。

今でこそ、写真投稿サイトやストックフォトなどのサービスを利用すれば、自分の写真を発表したり販売できますが、当時は自分のウェブサイトで作品を見せる形にするしか発表方法が思いつきませんでした。

15年近くやめていたのですが、数年前に改めてウェブサイトを立ち上げました。慣れていたこともあって、作品を紹介する写真掲載タイプのサイト形式にしましたが、新規に見に来る人の数は増えません。要するに名刺代わり以上のモノにはなっていないのです。

作品だけに特化せず、その周辺の写真に関わることを言葉で伝えることも、発信したらよいんじゃないかと思って、今のブログ形式でやろう!と文章主体に切り替えて、現在奮闘中であります。

海外サイトを紹介するページのその後

昔のサイト「有名写真」のデータを改めて見てみると、

今も続けている人はどんな活動をされているのだろう?

と興味がわいてきました。

当時紹介したサイトは49ありました。2022年5月現在で何らかのクリエイティブな仕事を継続していると確認できた方が41名でした。

各サイトを紹介する自分のコメントも残っていたので、昔と今の違いを確認してみたのですが、多くの人が昔の作業の延長線上を歩んでいる印象でした。

当時ジャーナリズムの作品を発表していた人が、写真家の権利を守る会社のCEOになっていたり、当時写真の学生で、一緒に頑張ろうぜって相互リンクしていた人が、バリバリの戦場カメラマンになっていたり。

みんなスゲーな。自分も頑張らねば、とひそかに思った次第です。

そんな中、今も刺激を与えてくれる数人をピックアップしてご紹介します。

ERIK REFNER

ERIK REFNER氏のサイトはなくなってました。名前でサーチすると、作品の一部は拾えます。ジャーナリストの彼が撮影したロカビリーの作品が好きでした。日本ではヤンキーを追ったドキュメンタリーみたいな作品でした。

生活スタイルが、外見のスタイルと一致している。そこに目をつけて作品にするセンスが好きです。自分の身の回りにある、ひとくくりをひそかに探しているのでした。

LOST AMERICA NIGHT PHOTOGRAPHY

タイムスリップは大げさだけど、当時と変わらない活動を継続していて、率直の驚きました。継続は力なりです。

捨てられ放置された乗り物を夜景で美しく撮る作業が、消費社会へのアンチテーゼであることを上手いことまとめていて、カッコ良いのです。さらに洗練され、作品が美しい印象です。

MARK TUCKER

彼の画像処理は少し大げさな印象がありますが、雰囲気のある作品が多いです。

コロディオン湿板の写真技法を知っている人は、ポートレイトが上手い。彼らは好んで被写界深度の低い写真を撮ります。

技法の性質上被写界深度が確保できない為だと思うのですが、目にピントがあるけど、耳はもうピントが来ていない位浅いのです。薬剤の塗布ムラと相まって、独特なトーンをみせます。

それを画像処理で再現とまでは言えないけど、少し取り入れている感じで、それが作品の味になっています。

どうも僕の好みはこのタイプの様です。これ以降も、湿板プリントを好んで探す癖が続きます。写真を始めた頃にすでにこの傾向があることを改めて知りました。

以前住んでいたアパートでは暗室を作って、フィルム現像とモノクロプリントをできたのですが、今の住み家に引越す段階で、暗室NGが家族に言い渡されているので、

よっしゃー!コロディオンプリントやってみっかー。

と言うわけにはいかないのです。便利な世の中なので、MARK TUCKER氏の方法論で、画像処理を極めていこうと心に誓うのでした。

OLAF VELTMAN PHOTOGRAPHY

僕の好きなポートレイトを撮る写真家は、IRVING PENN、HARRY CALLAHAN、鬼海弘雄、MARCO GROB、PLATON。彼らは皆、美しいモノクロプリントで人物を表現する。いずれは自分も、と思うのです。

OLAF VELTMAN氏も、あこがれの美しいポートレイトのトーンを持つ作家です。

デジタルでのモノクロプリントを改めて見直そうと思います。

PHIL BORGES

僕は、彼のオリジナルプリントを見たことがあります。確か愛知県豊田市文化会館で、山岳関係の展示の中にPHIL BORGES氏のチベットの作品が並んでいることに気が付いたのです。「有名写真」に掲載した後に見つけて、奇遇だなぁと思った記憶があります。

彼のポートレイトは不思議な作品で、モノクロ写真なのに、何故か人肌の部分だけ、肌の色がカラーの作品なのです。会場にいる人が教えてくれたのが、肌の部分だけ調色しているそうです。技術的に実現していることがすごいし、何より発想が面白いと思いました。

人物の肌だけ色が乗るだけで、もはやモノクロ写真ではなく、彩度の低いカラー写真のような印象です。

彼のもう一つの特徴が、ロケの撮影でストロボを手軽な装備として使いこなしていることです。今見返すと、20年以上前に今の僕と同様の装備を用いていることに驚きます。人の画面内での配置に特徴があり、学ぶべきことが多い写真家です。

BETHANY DE FOREST

どうも僕はプリミティブ(原始的な)な写真のイメージにあこがれがあるようで、BETHANY DE FOREST氏のピンホールカメラで撮影したシリーズが良かったのです。

「有名写真」には他にもピンホールカメラを使った作品を掲載している作家さんが複数いました。忘れていた自分の好みを思い出せた今回の作業でした。

画質のクオリティの話を横に置いて、原点ってなにかなぁ、と今更ながら心を巡らせるきっかけになりました。

最後にまとめ

まとめてみると、自分の中の好みに対するどす黒い沼、面倒くさい方に行きたがる好みがあることを思い出して戸惑っています。

そっちに行っちゃーダメだよー!

と戒めている自分と、

ここまで続けているんだから、好きな方向に走ってみたら?

とポジティブな自分とが、同居している変な具合です。パンドラの箱を開けてしまったかもしれない。

今日も一日安全作業で頑張ろう!ご安全に。

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