オフピーク通勤を続けていて早起きが習慣化し、休日でも早朝に目が覚めてしまう「ひでっとる」です。よろしくお願いします。
昔立ち上げていたウェブサイトを見返していたら、ピンホール写真に興味があったことを思い出したので、今回は実際に撮ってみようと思います。
ピンホール写真とは
普通のカメラにはレンズが必ず付いています。ピンホール写真は、レンズの代わりに極小の穴を使います。
不思議ですが、真っ暗な暗箱にほんの小さな穴があれば、それがレンズの代わりになって、写真を撮影することが出来るのです。
さすがにレンズの様にはきれいに結像しません。ピントが合ってるかどうか微妙な感じのぼやけた画像です。特徴としては、手元から、無限遠までぼやけた感じだけど全体にピントが合っている状態、パンフォーカスになります。
間違って使っても、きれいに写ってしまうカメラばかりの現代には、なかなかお目にかからない、原初的な画像です。僕は非常に心惹かれるものがあります。
ピンホール写真の準備
フィルムや印画紙が入手しやすかった時代なら、缶に印画紙をセットして、缶の一部に穴を開けカメラとしても良かったでしょうが、今はデジタルカメラの時代なので、効率よく実現することにしました。
用意するもの
- レンズ交換可能なカメラボディ
- お使いのカメラのボディマウントキャップを入手
- ビールの空き缶(黒い塗装部分があるもの)
- マチ針
- 工具(あればドリル、なければキリでも何でもよいです)
- やすり(加工箇所のバリを取るため)
ピンホールを自作してみた
まず、ボディマウントキャップの中心に10㎜ほどの穴を開けます。
ドリルがあると楽ですが、キリで穴を開けてヤスリで広げても良いし、彫刻刀で削っても良いです。
怪我のないように、注意して作業を行ってください。
適度な大きさの穴さえあれば問題なしです。この穴については精度は必要ありません。
次に、ビールの空き缶なら、サッポロ黒ラベルの星の周りの黒い部分、無糖の缶コーヒーなら缶の柔らかいタイプを使います。くどいですが、
怪我のないように、注意して作業を行ってください!
手袋した方がよいですよ。
実際のピンホール部分を作ります。空き缶の黒い部分を切り出します。
はさみが入る穴を開けます。何でも良いですが、今回はヤスリで削りました。
ハサミを使って、黒い部分を丸く切り出します。
ビールの缶は柔らかいので、ハサミで十分切れます。
切り出した残りは、手を切る恐れがありますので、取り扱いに注意してください。
星の部分を残す程度に丸く黒い部分を切り出します。
少しくらいは凹凸してますが、気にせず進めます。
先に穴を開けておいたボディマウントキャップにあててみて、全部が黒くなる部分で真ん中に穴を開けます。
この位置です。ピンホールは、細めのマチ針を使います。
ノートの上にティッシュを重ね折りしたものを乗せ、その上で作業します。
ボディマウントキャップをあてがい、位置を確認します。
マチ針で真ん中にプスッと穴を開けます。
シルバー側にはバリが出てますが、気になる方はヤスリで除去してください。写りにも影響があるので、色々試すと面白いと思います。穴の大きさなども結像に影響があるので、ここら辺は最適解を実験して自分で導くのが楽しいと思います。
僕の手応えでは、穴が小さいほど画像がきれいに写るわけではなく、最適な大きさがありそうです。しっかり真円の穴が開いていても、バリは丁寧に撮った方がきれいに写りそうです。
仕上りは不細工ですが、セロテープで固定すれば完成です。この方がプリミティブな感じがして気に入ってます。写真の原型を体験したいので、画像も粗野だし、見てくれも粗野でいーんじゃない?
わざわざ黒い空き缶にしたのは、内側を黒くしたかったからです。油性のサインペンなどで塗ることでもできるのですが、感覚的で申し訳ないのですが、
そういうのが好きではないのです。。。
ただそれだけです。だから、アルミホイルでも代用可能ですし、アルミ缶の裏側を利用して、カメラ内部側を黒く塗っちゃえばできます。
これでピンホールレンズは完成です。
撮影結果
テスト撮影をしてみました。撮りっぱなしの画像です。
ヒストグラムを見るとわかるのですが、非常にコントラストの低い画像ですが、しっかり写っていることが分かります。全体にフォーカスがあっていない感じの、ピントの甘さはあります。画像を調整すると
コントラストを調整するだけで、色味がかなり鮮やかに再現されてきます。むしろ日差しを感じて良好でした。
問題はあります。画像の左側に白いハレーションが見られます。これは、ピンホール穴のバリの影響かも知れません。もしかしたら、ピンホールの外側を黒く塗る必要があるかもしれません。今後のテストを繰り返すと改善するように思います。
全体にフォーカスが来ているけど、全体にぼやけている感じが不思議な印象です。作家の意図であえてピントを外した作品である、杉本博司の建築シリーズを思い出します。
それは、大きなフィルム(エイトバイテン)で盛大にピントを外した大きなプリントの作品です。目の前に立つと、実は独特な見応えがあって、ぼやけているモノクロのグラデーションの中に、建物のディーテール(細かい作り)を頭が補完しようとしている、銀塩の粒子を目が勝手に追っている、面白い体験が出来る作品でした。
中野正貴の無人の東京風景のこってりとしたイメージに近い色味が簡単に出ます。僕の街が少し都会的に見える?色が鮮やかな感じがそう思わせるかもしれません。同様に、撮影レンズにありがちな画像の湾曲が少ない点も、特徴に上げられます。
補足1ー画角について
僕の使用したカメラはフルサイズの一眼レフです。カメラ内部のイメージセンサーとピンホールの距離(フランジバック)が約50㎜なので、撮影した画像も50㎜レンズ、標準レンズを使った画角の画像が得られます。
これがフルサイズのミラーレスの場合、フランジバックが20㎜程度なので、超広角レンズと同等の画角になります。センサーサイズが小さい、APS-Cやマイクロフォーサーズの場合は、それぞれ使用するレンズのmm数に対応した画角と同じ画像が撮影されます。
補足2ー市販品もあります
調べると、ピンホールレンズとして商品があります。独特な画像を、手間をかけず楽しむことが可能です。
まとめ
これは、繰り返し実験して追い込むと、面白いことになると実感しました。初回としては満足しています。
作品の意図と合致すれば、高精細で撮影したピントのあいまいな画像を作って、大きなプリントで展示してみたいなぁ、と思うのです。贅沢な話ですが。
今日も一日安全作業で頑張ろう!ご安全に。