ピンホールの試作段階で分かった事

久しぶりにカブで県外へ脱出したものの、風の強さに冷や汗をかいた「ひでっとる」です。よろしくお願いします。

以前記事にしたピンホール写真ですが、想像以上に良い部分と、残念な部分があったので、

改善点を見つければ、満足のいくレベルに到達できそうだ

と思えたので、引き続き作業を続けた報告です。

目次

改善するには、自分の言動を正さねば

前回作ったピンホールを使って、もう一度撮影しました。やはり、全体的には満足できるのですが、どうも左端の白いモヤが気になります。前回の撮影で理解していた、

ピンホールは逆光に弱い

とは別の現象で、順光で撮影していてもモヤが出ていることが分かりました。

中心部から右半分に関しては、想像できるクオリティで、意外としっかりとした画像が写っていただけに、非常に惜しい状況です。

何とかしたいし、出来そうなので、考えられる改善方法が思い浮かんだのですが、前回の記事で余計なことを書いていることを思い出します。

ピンホールを作る最後のあたりで、

油性のサインペンなどで塗ることでもできるのですが、感覚的でもうしわけないのですが、

そういうのがすきではないので。。。

ただそれだけです。

【ピンホール写真を撮ってみた】の記事より

白いモヤの正体は多分、白い部分に光が当たって、乱反射してしまっていると思われます。ということは、

白くなっているところを黒くすれば、収まるのではないか、と考えられるわけですが、

そういうのがすきではないので。。。

と書いちゃいました。

ブログを始めて間も無いのに、一貫性のない展開で恥ずかしいのですが、

サインペンで金属部分を塗りつぶしました。

自分の言動に責任を取らないといけないけど、このやり方がすきではないって事で、お許しください。でも、

画像の質が劇的に改善しました。

もう穴の内側まで塗りつぶす勢いで、表面の金属面、穴の内側を

Paint it black.

です。ピンホールを黒く塗れば塗るほど、写し出す画像の色彩が鮮やかになるパラドックス。ありです。

見事にぬけの良い画像が写るようになりました。

ピンホール写真改善後の作例

今日は、久しぶりに写真展を観に行くために、出動です。ルボテンサンビルと同じ配色の昭和感満載の愛車です。

白くぼやけた現象は完全に無くなりました。

ピンホールの特徴が少しずつ分かってきました。すこしまとめてみます。

現段階で理解したピンホール写真の特徴まとめ

半逆光や逆光では撮影できません

この二枚の写真は、同じ位置から少しだけカメラを左右に振って撮影しました。左の写真はきれいに撮れましたが、右の写真は全体にモヤがかかって色かぶりが起こった上に、部分的に虹色の画像のにじみが出てきます。

画面の右奥に太陽があるためですが、普通のレンズで大丈夫そうな半逆光でも、レンズ機能が破綻します。

なので、通常以上に光源の位置を把握する必要があります。もしくは、自作でレンズフードを作ると改善しそうです。

これは次回に持ち越しです。

日差しの強い、コントラストの強い光源下が最も得意な条件です

どちらも背中から太陽に照らされた条件の写真です。左の写真の高架橋の下の部分や、右の写真の奥の建物の外壁は直接日光が当たっていないので、普通のレンズを使った画像では、真っ黒につぶれますが、ピンホールでは、しっかり黒く潰れずディーテールを保持しています。

個人的には、ここがとても好きな特徴です。

真っ黒にディーテールが残るのが好きです。同様にハイライトも真っ白に飛んでしまわず、かすかに情報が残るのが好きです。そのデータを出来るだけコントラストを高く仕上げていく。

そうすると、日差しを感じるような写真に仕上がります。

撮影された画像はコントラストが低いので、後処理で調整する必要があります

要するに、ピンホールでは、強い日差しの下で撮っても、階調が破綻しない程コントラストの低い写真が撮れます。

左が撮ったままのデータをウェブ用にサイズを小さくしただけの画像、右が後処理でコントラストを整えた画像。

左の写真をよく見ると、影の部分も全然暗くなく、ガンガン日光が反射して明るい部分も、真っ白く飛ぶことはなく撮れてます。画像データの素材としては申し分ないのですが、そのままの写真全体の印象は、メリハリが足りない様です。もっと印象的な画像に処理を施します。

なので、後処理でコントラストを調整します。コントラストを調整するだけで、

色があふれ出してきます。

単純なレベル補正でハイライトとシャドウの境界値を移動させるだけです。目からウロコが飛び出します。

写り過ぎないことを逆手に取るです

初期の写真は、感光材の感度が低かったので、焦点の合う範囲、被写界深度が極端に狭かったのです。

この頃の技法で撮影された写真の世界は、狭い範囲の焦点の合う範囲以外は、膨大なアウトフォーカス(ピンぼけ)の世界です。

現在流通している写真に見られる焦点が合った部分の多い画面とは印象がずいぶん違います。

ピンホールでの写真は、焦点の合う範囲が非常に広い、

パンフォーカスの世界なのに、すべてがアウトフォーカスに見える

不思議な世界です。

初期の写真に近い、ピンぼけ風の写真ですが、一点も焦点が合っていないから、もっと遠くに離れている存在です。非常に写真的な写真特有の世界観です。

レンズのボケの美しさを愛でる世界観と違う、もっと根源的なピンぼけの展開が出来ると面白いと思います。

何かが写り込む心配がなくなると、感覚的な撮影に没頭できます

最近しばらくテストのために、ピンホールのカメラを持って街を歩いてみたのですが、写真を撮る事に対する足かせが外れたような、気楽にシャッターを押せていることに気づきました。

ピンホールのテストという大義名分があって、それ以外の制約がない状態。加えて、通常なら写ってしまうと気になるプライバシーに関わる情報が、

ぼやけて写らない安心感

が働いているのでしょう。かなり自由にシャッターを押せます。知らず知らずのうちに、色々な責任を感じながら普段シャッターを押していることが分かりました。

考えようとしすぎていたとも言えます。

ちょっとだけ、感覚的な撮り方、シャッターを押す瞬間だけは、心の重しを下ろした状態でいたいと思いました。

今後の課題

ピンホールの楽しさに気づいたので、今後も続けていきます。今の段階でも課題はありますが、徐々にクリアーして、作品に昇華していければと思います。

  • 逆光対策で、レンズ(ピンホール)フードを付けてみる
  • センサークリーニングを行う
  • ピンホールでなく、スリットってどうなる?
  • ピンホールの特性が、表現手法として最上なものとなるモチーフ、コンセプトを見つける

2番目のセンサークリーニングですが、どうも通常のレンズを使うときよりも、センサーに付着した汚れが悪目立ちします。注意が必要で、こまめなクリーニングは必須かもしれません。

ピンホールのように点ではなく、線の隙間だとどうなるか、ある程度想像できたけど、きっちり結像はできません。一時物理をかじった者としては、スリットにノスタルジックに近い感情があります。概念的な干渉縞が結像すれば、コヒーレント光を捉えた、みたいな。時間の位相が重なって。。。わかりずらいですね。

いつも通り、コツコツと続けます。

今日も一日安全作業で頑張ろう!ご安全に。

目次