写真作品を発表する方法4選。ノコギリノコドウー3

写真学校の教師が、写真ってフォーエヴァ―だよねって言っていた意味が少しわかり始めた「ひでっとる」です。よろしくお願いします。

『ノコギリノコドウ』の説明3回目です。今回は、写真の作品が完成して、どんな方法で発表したかを解説します。4つの方法を検討しました。

  1. グループ展、個展など、写真を実際に飾って展示する方法
  2. SNSやウェブサイトに作品をアップする方法
  3. ポートフォリオレビューに参加
  4. 各種コンテストに応募

個人的に、❹各種コンテストに応募は、コンテスト形式の作品評価とは距離を取りたいと考えていますので、割愛しました。偏屈ですが、絶対評価(を信じる)の世界で、相対評価を下す(順位付けする)矛盾を解消できないでいます。デュエイン・マイケルスと杉本博司のどちらが優れているか?の優劣を僕は判定することが出来ないです。

目的が賞金だったり、出版の権利だったり、色々あるでしょう。登竜門として機能して今後の活動のステップになるコンテストもあるでしょうけれど、方法としてしっくりこないから応募はしません。

残りの3つについて話します。特徴を比較すると、

方法ターゲット費用費用対効果
グループ展・個展展覧会来場者数十万円肌感覚で反応が得られる
SNS・ウェブサイト不特定多数数万円/年間反応が分かりづらい
ポートフォリオレビューレビュアー数万円/1回レビュアーに依存するが以降の展開がある

費用に関しては、やり方によって幅がありますが、あくまで目安です。

どの方法も積極的に利用して、自分の作品を世に広めましょう。

目次

グループ展、個展など、写真を実際に飾って展示する方法

僕はこの数年間に何度も個展やグループ展を行いました。とても良い経験、体験となります。問題は費用や手間がかかることです。用意できるなら、是非行ってください。おすすめです。

おススメポイント・・・宣伝効果が高い。メディアへの露出のきっかけになりやすい。

テレビ、新聞、ラジオ、地元ケーブルテレビ等に取り上げられるチャンスがあります。積極的にアプローチしましょう。リアルな展覧会は、メディアに取り上げられやすい印象があります。リアルな行動は、評価されやすいのかもしれません。具体的な展覧会の準備やエピソードは別の記事で書きます。

おススメポイント・・鑑賞者との直接話すことから、新たな気づきや出会いが得られる。

展覧会の会場で作品を前にして話を聞くこと、話をすることで得られる出会いは、今後の活動に力を与えてくれる燃料です。作品の背景となる土地の歴史や産業について教えて頂けたり、自分の気づいていなかった作品の持つ意味を教えられることもありました。

展覧会以降に、自分の作品を語る時、来場者の語った話を引用させていただくことがありました。

この場合は、恥ずかしながら、個展の初日に来場された方に教えてもらうまで、奥様が前で写った写真が多いことに気づいていませんでした。

高評価をいただくばかりでなく、低評価や批判を受けることもあります。多くの意見にさらされることが作品の価値を高めます。作品の価値って、どれだけ多くの人の記憶に残るかだとすると、良くも悪くも話題になる事、語ってもらえることは素直に歓迎すべきだと思います。受け止めつつ、大いに自分の表現したことについて語りましょう。

来場者の方々は、少なくとも会場に足を運ぶ(もしくは通りすがりでも)実際に作品を見る行動を起こされたのです。そうです。

おススメポイント・・・写真展は、体験型のアトラクションなのです。

展覧会は、体験型のイベントです。新型コロナ以降の世界では、より体験することの意義が明確になると思います。僕の展示も体感を意識して、環境音を流したりして、演出しています。

この会場では、庭を挟んだ隣に、実際に稼働されているノコギリ屋根の工場があり、その工場内で動く織機の音が外から聞こえつつ、会場内にも、工場でサンプリングした織機の動作音をエンドレスで響かせました。来場者に体験してもらいながら、自分自身も来場者の反応を体験できる空間なのです。

SNSやウェブサイトに作品をアップする方法

僕にとっては、現在進行形の方法です。まさにこのブログの目的がこれです。SNS(インスタグラムに代表されるソーシャルネットワーキングサービス)を用いて作品の発信はしていません。30年くらい前に、個人のホームページを立ち上げていた経験がありました。

経験がある分、敷居が少し低いこともあって、2017年の個展を告知するタイミングでは、SNSを使わずに新たにホームページを開設しました。2017年時点では、写真ギャラリータイプのサイトです。写真作品を見せることに特化した、写真家のサイトによくあるタイプのやつです。僕の認知度は低いために、見る人はほとんどいなかったと思います。まあ、名刺代わりに使っていた感じです。

以前から、写真作品には言語と同調させた方がしっくりくる、と考えていて、『ノコギリノコドウ』を発表以降、写真について語る機会が増えるにつれ、ウェブサイトをブログにシフトして、作品を語りつつ、写真全般の考え方なんかも伝えてみたら面白いんじゃないか?と思って、この形を始めています。

僕の写真を続けてきた道のりは、横道にそれながら、色々やり散らかして、まだ峠が見えない道の途中、下手したら道しるべもない道だから、迷子なのかもしれません。

写真集のダミーブックを作ったり、展示用の大きな額縁作ったり、ウェブサイトでブログを開設して記事を書いたり、息子の家庭教師をしたり。。。

何事もチャレンジしようと、企んでいるけど、ずーっとやってることがそれ程変わっていない気がします。

ポートフォリオレビューに参加

僕は2回、『ノコギリノコドウ』の建物だけで1回と、工場内部も含めて完成させた段階で1回、KYOTOGRAPHYのポートフォリオレビューに参加しました。

このイベントの概要は、写真を批評するレビュアーに対して、作品をプレゼンするイベントです。スケジュールをあらかじめ組んでもらって、3名とか、5名のレビュアーにそれぞれ20分の時間をもらって、自分の作品を語り、評価を聞けるのです。

最後のパーティーともなると、とても華やかなイベントで、泥臭く田舎で写真を製作している身としては、まさに別世界です。写真ってやっぱりカッコいいメディアだよね、と再認識できる場でした。

用意するものは以下のモノ

  • 適正なサイズの作品を20分で見てもらえる枚数用意
  • レジュメ、説明文をA4用紙にまとめる(レビュアー人数分)
  • 伝えようとする強い意志と気合
  • 名刺

20分なんてあっという間です。的確に作品の概要を伝えるためには、事前の準備を念入りに行うことです。そして、この作品で自分がやりたいことを明確に伝えれば、きっと何らかの良いオファーをいただくことが出来ます。

レビュアーは写真を批評する基準となるキャリアがそれぞれ違います。美術館の学芸員、写真評論家、大学の講師等様々です。複数の多業種の方たちの視点を網羅するプレゼンテーションは難しいです。報道畑のレビュアーなら、ドキュメント作品としての視点でのオファーにつながる糸口を提案してみたり、写真評論家のレビュアーには、写真集の作ってもらえそうな出版社へのアプローチの相談をしてみたり、

レビュアーの経歴をしっかり下調べして、戦略を立てておく事が有効です。

海外からのレビュアーにも見てもらう機会が得られました。僕は英語での意思の疎通が出来ませんので、英文でのレジュメを翻訳ソフトを駆使して作成して、現場にいるスタッフさんにも声をかけて、言語のサポートをお願いしたりして、身振り手振りで一生懸命伝えようとしたら、どうやら結構伝わったようで、喜んでいただけました。

気合や熱意は、言葉よりも伝わりそうです。

経験的に理解したことですが、作品の制作段階、特に撮影にかかわるアドバイスをくれるレビュアーは、自分の作品に寄り添えていないということです。逆に言うと、自分の作品、もしくはプレゼンテーションが、レビュアーにフィット出来ていないのです。

具体的な一例を紹介しますと、2連のノコギリ屋根の工場の108枚の写真を18×6のグリッド配置した作品に対して、”なぜ、モノクロで撮ろうとしなかったの?これエッシャーのアプローチじゃん”、とアドバイスを頂いたのです。

時間があれば、

”もちろんベルント&ヒラ・エッシャーの仕事を理解した上で、厳密さに対する扱い方はむしろ畠山直哉の作品に敬意を持っていて、単純なエッシャー的手法の焼き直しではないです”

ということを、伝えることができるのですが、短時間ではかなわず、お話を頂いたアドバイスを拝聴して終わりました。

写真批評家の方からは、思ってもみない写真の評価の仕方、読み取り方を聞かせてもらいました。

この作品の楽しみ方は、中心の建物にかかる電線の影と右上に伸びる実際の電線が一直線に見えたり、一本の影が建物の対角にピッタリ合ってたり、中心の建物の屋根の稜線の延長に奥の建物の屋根の稜線が合ってたりするところなんだよねぇ、と教えてくれました。製作者の意図とは無関係な、純粋に写っているものだけから読み取る行為です。

瞬間芸のオンパレード、真剣勝負だからこそ、色々なことが、濃密に起こった。有意義な時間でした。

結論ですが、

複合的に発表することで、認知度をアップしましょう。他人事ではなく、僕自身が今まさに取り組んでいます。一緒に頑張りましょう。

今日も一日安全作業で頑張ろう!ご安全に。

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